「スイちゃんもわたあめ食べる?」


真っ白なわたあめをずいっと差し出す、真っ白な髪の千佳に首を振る。


「わたあめは千佳だから」
「……」
「……スイちゃんって時々そういう事言うよねぇ」


考え込む椿の横で千佳はそう言ってわたあめを口に含む。


「……共食い…」
「スイちゃんには僕がわたあめに見えてるってこと…?」
「………冗談だよ」
「知ってるぅ」
「………俺はまた、翡翠さんの冗談をわからなかった…」


なにやらショックを受けたように項垂れる椿の様子はもう見慣れたもので、それを見てケラケラと笑う千佳もいつもの光景だ。


「翡翠きゅん。愛情たっぷり入ったミルクティーよ!」
「あ!俺が翡翠さんのいれたかったのに…」
「早い者勝ちよ!」


智哉と椿がキャンキャン騒ぐのを翔真が鼻で笑うのがいつものパターンだ。


「ねえ、スイちゃんはどっちの紅茶がいいの?」
「……どっちでも」
「どっちかって言ったら?」
「おれは、」


にやにやとした千佳の質問に答えようと口を開いた時だった。



「おれ!!!?」



倉庫が揺れるんじゃないかってくらい目を丸くして大きな声を上げた千佳に視線が集まる。