「た、高城さん……んっ」
「小春……」
低く、くぐもった声が耳元で落ちる。
マンションへ帰宅し、玄関のドアを閉めた瞬間だった。腕が回り、強く引き寄せられたかと思ったら玄関の壁に押し付けられるようにして、唇を奪われた。浅見屋からここまで高城さんと特に会話はなかった。会話がなくても一緒にいる空間だけでお互いが安心しきっているようだった。けれどひとたびふたりきりになると、彼の中で我慢の限界を超えた感情が爆発したようで、むさぼるようなキスを繰り返した。
「あっ……」
バッグがそのまま床に落ちる。彼の指先だけが、私を確かめるように頬を撫で、首筋に触れ、背中を撫でた。
「すまない、つい……がっついた」
ようやく落ち着きを取り戻した彼が、ほんの少しバツが悪そうに照れ笑いした。こんなふうに突然求められて戸惑いを隠せなかった。徐々に上がりだした息を押しとどめ、お互いに深呼吸する。
「ずっと……言わないでおこうって、思ってたんだ」
整いだす息遣いの空気の中、それはとろけるよう声だった。そして深呼吸がため息に変わったとき、高城さんがポツポツと語りだした。
遡ること二年前の話は、祖父から聞いたことと相違はなかった。両親の葬儀に参列していた高城さんが、まだあどけなさの残る当時十八歳の私の姿を見たとき、彼女を守らなければ」という責任感と使命感が生まれたという。
「ずっとずっと君のことが大切だったんだ。君になにか不自由はないか、困ったことはないかいつも見守っていた」
「小春……」
低く、くぐもった声が耳元で落ちる。
マンションへ帰宅し、玄関のドアを閉めた瞬間だった。腕が回り、強く引き寄せられたかと思ったら玄関の壁に押し付けられるようにして、唇を奪われた。浅見屋からここまで高城さんと特に会話はなかった。会話がなくても一緒にいる空間だけでお互いが安心しきっているようだった。けれどひとたびふたりきりになると、彼の中で我慢の限界を超えた感情が爆発したようで、むさぼるようなキスを繰り返した。
「あっ……」
バッグがそのまま床に落ちる。彼の指先だけが、私を確かめるように頬を撫で、首筋に触れ、背中を撫でた。
「すまない、つい……がっついた」
ようやく落ち着きを取り戻した彼が、ほんの少しバツが悪そうに照れ笑いした。こんなふうに突然求められて戸惑いを隠せなかった。徐々に上がりだした息を押しとどめ、お互いに深呼吸する。
「ずっと……言わないでおこうって、思ってたんだ」
整いだす息遣いの空気の中、それはとろけるよう声だった。そして深呼吸がため息に変わったとき、高城さんがポツポツと語りだした。
遡ること二年前の話は、祖父から聞いたことと相違はなかった。両親の葬儀に参列していた高城さんが、まだあどけなさの残る当時十八歳の私の姿を見たとき、彼女を守らなければ」という責任感と使命感が生まれたという。
「ずっとずっと君のことが大切だったんだ。君になにか不自由はないか、困ったことはないかいつも見守っていた」



