交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「おい……その汚い手。彼女から下ろせ」

低く、地面から響くような声が背後から聞こえた。木谷さんが私の後ろに視線をやりながら固まっている。

「小春、こっちに来るんだ」

一瞬、風が起こったかと思うと、突然ふわりと後ろから腰に腕を回される。そしてグイッと強く引き寄せられた。

「た、高城さん?」

どうして彼がここにいるの? 出張に行ってるはずじゃ……。

私の背中にある胸の鼓動が、早く、強く鳴っている。

「大丈夫か? 怪我は?」

「大丈夫です」

高城さんは私の無事を確認すると、キッとものすごい形相で木谷さんを睨みつけた。

「浅見屋にファックスで送りつけていた嫌がらせも全部お前の仕業だな?」

「妙な言いがかりはやめてくれ、だいたい証拠なんてない」

しらを切るように木谷さんが鼻で笑うが目が泳ぎ始めている。

「送信されてきた番号を特定すればわかる。足がつかないようにコンビニで送ったな? 警察に届ければ一発だ」

ギクリとして木谷さんが眉を跳ね上げた。どうやら図星だったようだ。

「くっ……」

木谷さんが悔しそうに眉を歪め、唇を噛みしめる。