交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

高城さんに身体ごと向けると、彼は目尻を下げてふわっと笑った。

「俺もだよ、だから時間が許す限りできるだけ小春と一緒にいるようにする。本当言うと、君に会いたくて仕事も手に着かないときがあるんだ」

高城さんは自分で言って少しバツが悪そうに、困ったような、照れた表情をした。

あぁ、こんな顔もするんだな。

木谷さんをけん制したときの高城さんは動物でいう「雄の本能」のようでその野性味にゾクリとした。仕事にもストイックで厳しい一面もある中で、彼のこんな表情を見たら胸がドキドキしてきた。こそばゆくなって少し身じろぎすると肩と肩が触れた。私はそのまま彼の隣に身体を預ける。

「疲れたか?」彼のその声がもう優しさだった。

「少しだけ。でも平気です」

少しして彼の指が私の髪に触れる。何をするわけでもなく、ただ、撫でてくるだけ。その指が、耳の後ろをそっとなぞったとき、身体が熱く反応した。

「高城さん」

「ん?」

「……キス、してください」

ゆでだこみたいに私、たぶんすごく真っ赤な顔をしてる。

今にも消え入りそうな声でそう言うのが精一杯だった。彼は頷いて私の唇に優しく触れた。

最初は軽く。でも、何度も何度も重ねるうちに、身体の奥が熱を持ち始めるのを感じた。

キスだけじゃ、足りない……。