交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「うん、うまいな。おかわりいいかな?」

「ふふ、はい。よっぽどお腹が空いてたんですね」

高城さんは予定よりも三十分早く帰って来た。すでに食事の用意は出来上がっていて、筑前煮を絶賛しながらおかわりの催促をした。

あぁ、なんかこういうの夫婦って感じがする。

結婚して以来、改めて私は高城さんの妻であるとしみじみ実感した。

「小春は料理が上手なんだな、また食べたい」

食事を済ませ、ローテーブルの上にお茶を並べて、高城さんと隣り合わせでソファに座る。

「はい、高城さんが早く帰って来られたときはいつでも」

「すまないな、本当に。忙しいというのは言い訳だな、時間は作るものだと思いつつもなかなか……」

「ち、違うんです!」

早く帰って来られたら、だなんて捉えようによっては皮肉に聞こえたかもしれない。私は慌てて首を振って訂正する。

「本当はいつも一緒にいられたらなって思ってます。一緒に食事をして、一緒にこうしてソファでくつろいで、そうすると二人で暮らしてるって実感できるんです」