翌朝の営業前。
「ええっ⁉ ち、ちょっと待って、それどういうこと?」
今日も仕事を頑張ろう! そう昨夜気合いを入れたばかりだというのに、朝一番に祖父から聞かされた話で、まだ眠気でぼんやりした目が一気に覚めた。案の定というような私の反応に仕込み中の祖父が大きくため息をつく。いつもならおはようの挨拶も笑顔で返してくれるのに、今日はいかにも不機嫌そうに「おう」とだけ言って私の顔を見ようともしなかった。
「店を畳まなきゃならんかもしれん」
朝から何を悪い冗談を言っているのかで済まされればよかったけれど、そう言って肩を落とす祖父の後ろ姿を見ていたら、だんだんと現実味を帯びてきた。
「昨日、木谷から電話があった。はぁ……二度と連絡してくるなって言ってるのに、まったくしつこいやつだ」
祖父は眉間に皺を寄せ、苛立ちを紛らわせるように仕込みの手を動かし続ける。
会議のときに出す茶菓子や取引先への贈答品などで贔屓にしてもらっている〝木谷ホステルグループ〟という大手ホテル企業と浅見屋は昔から繋がりがある。そこの企画部長である木谷尊さんから昨夜『新規のホテル建設計画を本格的に進めたい。浅見屋さんには申し訳ないが立ち退いて欲しい』と祖父のところへ電話があったらしい。
「ええっ⁉ ち、ちょっと待って、それどういうこと?」
今日も仕事を頑張ろう! そう昨夜気合いを入れたばかりだというのに、朝一番に祖父から聞かされた話で、まだ眠気でぼんやりした目が一気に覚めた。案の定というような私の反応に仕込み中の祖父が大きくため息をつく。いつもならおはようの挨拶も笑顔で返してくれるのに、今日はいかにも不機嫌そうに「おう」とだけ言って私の顔を見ようともしなかった。
「店を畳まなきゃならんかもしれん」
朝から何を悪い冗談を言っているのかで済まされればよかったけれど、そう言って肩を落とす祖父の後ろ姿を見ていたら、だんだんと現実味を帯びてきた。
「昨日、木谷から電話があった。はぁ……二度と連絡してくるなって言ってるのに、まったくしつこいやつだ」
祖父は眉間に皺を寄せ、苛立ちを紛らわせるように仕込みの手を動かし続ける。
会議のときに出す茶菓子や取引先への贈答品などで贔屓にしてもらっている〝木谷ホステルグループ〟という大手ホテル企業と浅見屋は昔から繋がりがある。そこの企画部長である木谷尊さんから昨夜『新規のホテル建設計画を本格的に進めたい。浅見屋さんには申し訳ないが立ち退いて欲しい』と祖父のところへ電話があったらしい。



