仕事中なのはわかっているけれど、ほんの一瞬だけでもお礼が言いたい。帰ってからまた会うのだからそのときでいいんじゃないかと思ったけれど、私の指はすでに高城さんの番号をタップしていた。
『もしもし?』
「あ、高城さん? あ、あの――」
数回呼び出しが鳴って、まるで私から電話が来ることがわかっていたかのように高城さんの声がすぐに聞こえた。
「さっきメッセージ見ました。立ち退きの話がなくなったって」
『君から電話が来るんじゃないかって思っていた』
クスリと電話の向こうで小さく笑って紙擦れの音がした。
こうして話している間にも彼は仕事に追われているのだ。
「ありがとうございました。ひとことちゃんと電話でお礼がいいたくて、お忙しいときにごめんなさい」
『いや、君の安心した声が聞けて俺も嬉しい、先ほど朝一番に木谷社長から勝手な愚息の行動の謝罪と併せて取り下げの連絡があったんだ』
『もしもし?』
「あ、高城さん? あ、あの――」
数回呼び出しが鳴って、まるで私から電話が来ることがわかっていたかのように高城さんの声がすぐに聞こえた。
「さっきメッセージ見ました。立ち退きの話がなくなったって」
『君から電話が来るんじゃないかって思っていた』
クスリと電話の向こうで小さく笑って紙擦れの音がした。
こうして話している間にも彼は仕事に追われているのだ。
「ありがとうございました。ひとことちゃんと電話でお礼がいいたくて、お忙しいときにごめんなさい」
『いや、君の安心した声が聞けて俺も嬉しい、先ほど朝一番に木谷社長から勝手な愚息の行動の謝罪と併せて取り下げの連絡があったんだ』



