交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「君に丁寧に大切に寄り添うつもりだよ、焦らず、無理はさせない。だから安心してくれ」

その声がどんな言葉よりもまっすぐだった。彼の手が、私の髪にそっと触れて、やさしく撫でた。

……それだけだった。

高城さんはそれ以上、何もしてこなかった。押し倒しもしない、強く抱きしめてもこない。

あ、れ?

ただ、私の髪を静かに撫でて微笑んだ。

「今日は色々あって、疲れただろう。ゆっくり休むといい」

「……はい」

小さく頷いて私は彼の胸に顔をうずめた。

高城さんとのキスの熱も冷めやらぬまま、私はゆっくりソファから立ち上がり自分の部屋へと戻った。

私だけが、勝手にドキドキして、勝手に顔を赤くして、勝手に頭の中でストーリーを走らせていたんだ――。

恥ずかしい。

穴があったら入りたい。というか、今すぐこの場から消えたい。私はベッドへ倒れこむようにダイブして、真っ赤になっているであろう顔を枕に押し付けた。全身がカッと熱い。息が苦しい。もはや枕に顔をうずめても、羞恥心は消えない。ここまで恥ずかしいと思うのは、きっと準備ができていないと言いながら、心のどこかで高城さんに抱かれることを期待していたからだ。それが見当違いで自分が想像していたことだけが先走って頭の中で置いてけぼりになったものに恥ずかしさをさらに煽られた。

でも、高城さんは無理強いせず丁寧に大切に寄り添うと言ってくれた。私のことを一番に考えてくれているのがわかって嬉しかった。胸の奥がキュッとなって、改めて高城さんの頼もしさと男らしさに心が奪われていく。

私、高城さんのこと本気で好きになっちゃったんだ……。

すでに結婚しているというのに、あとから気持ちが追い付くなんて妙な感覚だった。ずるいとすら感じる彼の笑顔を思い浮かべる。

高城さん……。

胸の中で無意味に何度も彼の名前をつぶやいて、私は眠りへと落ちていった。