交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「それ、着けてみてくれないか?」

「は、はい」

そっと箱からネックレスを取り出すと、ドキドキと鼓動が高鳴り指先が震えてくる。なんせダイヤなんて初めて手にしたのだから、そんな手で首の後ろにチェーンを回しても、案の定うまく指が動かなかった。

「貸してごらん」

高城さんがゆっくりと席を立ち、私の座る後ろに立った。

「すみません、着け慣れてなくて……」

こんな高価なプレゼントをしてもらって嬉しい反面、怖気づいてるなんて知られたらなんだか恥ずかしい。それにネクタイピンのネックレスを身に着けているとさっき話しておいて着け慣れていないだなんて話が矛盾していると自分でも思う。

ネックレスを手渡すと、彼はスッと首の後ろに手を回した。そして私の胸元に吸い付くようにダイヤがキラリと輝いた。

「鏡があればもっとよく自分で見られるんですけど、ありがとうございます。ッ⁉」

「鏡なんてなくても、十分綺麗だよ。似合ってる」

私の両肩に手を置き、後ろから耳元へそうささやかれてビクッと腰が浮きそうになった。声のした方へ身体を向けたら、きっと彼の顔がすぐそばにあるに違いない。ただでさえ胸の高鳴りを抑えきれていないのに、果たしてその近距離に心臓が耐えられるかわからない。

「どうした?」

「いえ、なんでもないです……素敵なプレゼントありがとうございます」

屈めた腰を正した気配を察知して振り向くと、高城さんが私に優しく笑って見下ろしていた。

あぁ、この笑顔さえあればなにもいらないかも。

自分の席に戻る高城さんを目で追いながら、改めて彼が旦那様だと思うと気恥ずかしいようなくすぐったさを覚えた。