重ねられた私の手がゆっくりと握りこまれる。高城さんの手はほどよい温かさだったけれど、彼の手の中で私の手ばかりが熱をあげていく。唇を引き結び、じっと私を見据える瞳は冗談を言っているような気配はない。「なぁんてね」と明るく言ってくれたら、高城さんの視線に呑まれかかった私の気持ちはまだ引き返せるかもしれない。
「だから……正直なことをいうと、手放したくない」
嘘、だよね?
これは全部夢なんだ。そう思おうと揺れる気持ちを何度も正す。けれど手から伝わってくる高城さんのぬくもりと、真摯なまなざしが私の胸をときめかせてならない。
「高城さ――」
「俺が店も、君のことも守る。ここで君と終わりたくないんだ」
ものには順序というものがあると思っていた。だけど時にそんな常識もすっ飛ばしてロマンス映画のような展開が突如として起きる。それが、まさか自分の身になんて想像もしていなかった。真面目な表情にほんの少し垣間見える照れたような彼の笑顔が私の鼓動を揺るがす。
木谷さんの話をしたときに見せた涼しげな顔はともすれば冷淡にも見えたけれど、目元や唇に滲ませた柔らかな笑みがその印象を打ち消している。正直、彼は私のどストライクなタイプだ。
「俺と結婚しよう、小春」
「だから……正直なことをいうと、手放したくない」
嘘、だよね?
これは全部夢なんだ。そう思おうと揺れる気持ちを何度も正す。けれど手から伝わってくる高城さんのぬくもりと、真摯なまなざしが私の胸をときめかせてならない。
「高城さ――」
「俺が店も、君のことも守る。ここで君と終わりたくないんだ」
ものには順序というものがあると思っていた。だけど時にそんな常識もすっ飛ばしてロマンス映画のような展開が突如として起きる。それが、まさか自分の身になんて想像もしていなかった。真面目な表情にほんの少し垣間見える照れたような彼の笑顔が私の鼓動を揺るがす。
木谷さんの話をしたときに見せた涼しげな顔はともすれば冷淡にも見えたけれど、目元や唇に滲ませた柔らかな笑みがその印象を打ち消している。正直、彼は私のどストライクなタイプだ。
「俺と結婚しよう、小春」



