「婚約者って……あの、どういうことですか? もしかして私のことからかってます?」
私の身の上を知って冗談で気分を紛らわせようとしてくれているだけだ。彼のような素敵な人からそんな甘い冗談言われるだけも夢のような体験だ。出会って間もない男女がいきなり婚約だなんてそんな海外ドラマでもあるまいし。
でも待って、そもそも私はパーティーに本物の恋人を探しに来たわけじゃない。高城さんが嘘でも私の恋人になってくれたとしたら……?
「からかっているように聞こえるのか?」
「だ、だって、たとえ私と婚約したとして高城さんになんのメリットがあるんですか?」
彼みたいな素敵な人を婚約者だと木谷さんに紹介したら、きっとしっぽ巻いて逃げるだろう。立ち退きの件も白紙になれば万々歳だ。けれど私の先入観としてこういう御曹司はきっとどこぞの社長令嬢と一緒になるものだと決まっている。しがない和菓子屋の名家でもない娘となんて分不相応だ。
「そうだな、浅見屋の商品を是非、高城クラウンホテルズでも販売させてくれたら、それが俺のメリットだ。ホテルに浅見屋の商品が並べば大きな売りのひとつにもなる」
「え? うちの商品を?」
「実は以前、うちのバイヤーがそのように店主に打診に行ったんだが、独自のブランドを守りたいと、門前払いされてしまってね」
ちょっと、おじいちゃん……なにやってるのよ。高城クラウンホテルズの打診を断った話なんて初耳!
私の身の上を知って冗談で気分を紛らわせようとしてくれているだけだ。彼のような素敵な人からそんな甘い冗談言われるだけも夢のような体験だ。出会って間もない男女がいきなり婚約だなんてそんな海外ドラマでもあるまいし。
でも待って、そもそも私はパーティーに本物の恋人を探しに来たわけじゃない。高城さんが嘘でも私の恋人になってくれたとしたら……?
「からかっているように聞こえるのか?」
「だ、だって、たとえ私と婚約したとして高城さんになんのメリットがあるんですか?」
彼みたいな素敵な人を婚約者だと木谷さんに紹介したら、きっとしっぽ巻いて逃げるだろう。立ち退きの件も白紙になれば万々歳だ。けれど私の先入観としてこういう御曹司はきっとどこぞの社長令嬢と一緒になるものだと決まっている。しがない和菓子屋の名家でもない娘となんて分不相応だ。
「そうだな、浅見屋の商品を是非、高城クラウンホテルズでも販売させてくれたら、それが俺のメリットだ。ホテルに浅見屋の商品が並べば大きな売りのひとつにもなる」
「え? うちの商品を?」
「実は以前、うちのバイヤーがそのように店主に打診に行ったんだが、独自のブランドを守りたいと、門前払いされてしまってね」
ちょっと、おじいちゃん……なにやってるのよ。高城クラウンホテルズの打診を断った話なんて初耳!



