交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

高城さんが私の斜め前にあるソファに腰掛ける。改めてみると本当に端正な顔立ちをしていて、じっと見つめられると言葉がうまく出なくなる。

うぅ、気まずい。

そもそもこのパーティーに行こうと思った動機は不純だ。木谷さんから強引に結婚を迫られ、それを回避するため嘘でもいいから恋人になってくれる人を探しに来た。なんてこの誠実そうな彼を前に口が裂けても言えない。

「友人に誘われて参加したんです。最近、実家の店もあまりうまくいってなくて、気晴らしになればなって」

っ⁉ 私何言ってるんだろ、こんな内輪の話したって彼には関係ないじゃない。

高城さんの懐の深さが笑顔から滲み出ていたから、それについ甘えるように愚痴めいたことを口にしてしまった。けれど。

「よかったら話を聞かせてくれないか?」

「え?」

全身で話を聞く。というように高城さんが私に身体を向けた。こんなふうにされたら、ずっと今までひとりで悩んで考えてきたことが溢れだしそうになる。話を聞いてくれる人がいる。それだけで今の私にはありがたい存在だった。