交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

――高城湊(たかしろみなと)三十二歳。経営学の最高峰といわれる某国立大学を博士課程で卒業し、スイスでホスピタリティを数年学んだあと、家業である高城クラウンホテルズのCEOに就任。全国各地に展開された同グループの宿泊事業の開発、運営戦略を策定しながら全国を奔走している。

久しぶりにこんな美味しい朝食を食べた。普段はトーストにバターとジャムを塗って、少し余裕があるときはベーコンをのせ、サラダやゆで卵も付ける。そんな質素な朝食とは雲泥の差だ。ふかふかのソファに座って搾りたてのオレンジジュースを飲みながら、スマホで検索した高城さんプロフィールに目をなぞらせる。顔写真をじっと見つめていると、なんとなくどこかで会ったことがあるような既視感が生まれる。

そんなわけないか、背が高くてかっこよくてそれでホテルのCEOなんてそんなハイスペックな人が私の周りにいるはずがない。

『仕事が忙しかったりするのか? 大事に至らなくてよかった』

耳に心地いい低音の声で労わるようなことを言われ、それを思い出すとボッと顔に熱を持つ。

仕事、って、どうして私が働いてるってわかったのかな? 

気分が悪かったとき、頭がぼーっとして記憶にないけれど自分のことをなにかしゃべったのかもしれない。