今年で二十四になる私の恋愛事情は、今の季節と打って変わってそれはもう秋風吹くような寂しいものだ。大学のサークル仲間といっときいい感じにはなったものの恋愛関係に発展することはなかった。
『気持ちがなくてもとりあえず付き合ってみて、好きって感情はあとからついてくるもんだって』なんて友達に言われたこともあったけど、根っから律儀な性格からかどうしても気持ちがないのに付き合うなんて後ろめたくてできなかった。恋人と初めて経験した恋バナに花を咲かせている友人たちの傍ら、まったく縁のない話にため息が出た。
最近は黒髪のロングヘアから栗色のミディアムボブにイメチェンしたくらいで、容姿もそこまで飛びぬけて目立つほうじゃない。どちらかというと色白で地味な顔立ちだ。二重瞼のクリッとした目だけは幼少期から変わらず、それを「可愛い」と言ってくれる人もいるけれど、実際は童顔に見えていまだに学生に間違われるのが玉に瑕。おまけに身長も一五〇センチと小柄でなおさらだ。
「小春ちゃん、今日は私がレジ締めするから試作品のお菓子、裏で食べてきちゃいなさい」
「え、でも……」
「いいから、おじいさん、小春に一番に食べてもらいたくてずっとウズウズしてるんだから」
この店の女将である祖母に言われて、私は試作品のお菓子にそそられるようにお言葉に甘えることにした。そして祖父が数ヵ月前から試行錯誤して作った水まんじゅうを早速厨房の冷蔵庫から取り出す。うっすらとあんこの透けたひと目でも涼しげな水まんじゅうだ。
祖父は季節ごとに新商品を出すのではなく、一ヵ月から二ヵ月ごとのペースでなんかしらの新しい和菓子を考案している。なぜなら、そうでもないと客寄せにならないからだ。
美味しい! これなら絶対売れるの間違いないね。
『気持ちがなくてもとりあえず付き合ってみて、好きって感情はあとからついてくるもんだって』なんて友達に言われたこともあったけど、根っから律儀な性格からかどうしても気持ちがないのに付き合うなんて後ろめたくてできなかった。恋人と初めて経験した恋バナに花を咲かせている友人たちの傍ら、まったく縁のない話にため息が出た。
最近は黒髪のロングヘアから栗色のミディアムボブにイメチェンしたくらいで、容姿もそこまで飛びぬけて目立つほうじゃない。どちらかというと色白で地味な顔立ちだ。二重瞼のクリッとした目だけは幼少期から変わらず、それを「可愛い」と言ってくれる人もいるけれど、実際は童顔に見えていまだに学生に間違われるのが玉に瑕。おまけに身長も一五〇センチと小柄でなおさらだ。
「小春ちゃん、今日は私がレジ締めするから試作品のお菓子、裏で食べてきちゃいなさい」
「え、でも……」
「いいから、おじいさん、小春に一番に食べてもらいたくてずっとウズウズしてるんだから」
この店の女将である祖母に言われて、私は試作品のお菓子にそそられるようにお言葉に甘えることにした。そして祖父が数ヵ月前から試行錯誤して作った水まんじゅうを早速厨房の冷蔵庫から取り出す。うっすらとあんこの透けたひと目でも涼しげな水まんじゅうだ。
祖父は季節ごとに新商品を出すのではなく、一ヵ月から二ヵ月ごとのペースでなんかしらの新しい和菓子を考案している。なぜなら、そうでもないと客寄せにならないからだ。
美味しい! これなら絶対売れるの間違いないね。



