交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「どうした? まだどこか具合でも?」

「え、い、いえ……その、部屋のお代金なんですけど」

「予測不可能だったことに対して金銭を請求するつもりはない。気にしないでくれ、何か飲めるか?」

彼は私を困らせないようにわざと話をそらした。そんな優しさが垣間見られてグッと力を入れていた肩がすとんと下がる。

「ありがとうございます」

水が入ったグラスを彼から受け取ると喉の渇きが刺激され、ひとくち口をつけたらゴクゴクと一気に飲み干した。

「あの、ホテルのお代金はちゃんと払いますから、気にしないでと言われてもご迷惑をおかけしてしまったのは事実ですし、あなたにも迷惑がかかります」

「迷惑って?」

「上司から勝手なことをするなって、怒られるかもしれません」

私が言ったことに対して彼がクスリと微笑む。

「生憎、俺に上司ないない。敢えて言うなら会長の父くらいかな?」

「……え?」

会長の父って? ええっ! じゃあ、もしかしてこの人……。