交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

人に酔ったなんて思ったからかな、なんだか本当に気持ち悪くなってきちゃった……。

会場に人が増えてくるとそれだけ空気が薄くなるような気がしてクラクラし始める。

とりあえずお手洗いに行って来よう、ここで具合が悪くなったらみんなに迷惑かけちゃう。

広間の出口まで行くのにでさえ足元がふらついて、途中、数人の人に「どうかしましたか?」と声をかけられたような気がするけれど、大丈夫と意思表示するために軽く手を挙げるのに精一杯だった。

やっぱり慣れないところに来るものじゃないな……。

なんとか会場を出て廊下を歩いていると階段があった。どうやら化粧室は下のフロアに降りたほうが一番近そうだ。

あぁ、なんか目がチカチカしてきたし、変な汗まで出てきた。どうしよう……。

パーティーに行く。それだけで昨夜は気持ちが落ち着かなくて結局眠れなかった。まるで翌日の遠足が楽しみ過ぎて眠れない子どもみたいだ。

化粧室に入ってしまえば少しは人目につかないところでゆっくりできる。そう思って階段を降りようとしたときだった。視界がグラリと揺らめいて反転する。

「危ない!」

耳になのか頭になのか荒げた言葉が聞こえた。そして一瞬身体が宙に浮いたような感覚がして私は固く目を閉じた。

「君、大丈夫か?」

頭の上から男性の声がして、ゆっくりと目を開け見上げる。一体自分の身になにが起きたのか理解するのに時間がかかる。

「顔色が悪いな、具合が悪いのか?」

「え……」