芽衣は〝高城クラウンホテルズ銀座〟のレセプショニストとして仕事をしている。大学でホスピタリティを勉強して高級ホテルで就職することをずっと夢見ていた。高城クラウンホテルズは世界二十ヵ所以上の国と地域に展開していて、他にもレストランやベーカリーなど幅広く事業を手広く運営している。雑誌やテレビで何度かホテルの名前は聞いたことがあるけれど、敷居が高すぎて私のような庶民が近づけるような場所じゃない。
『そのパーティーに一緒に行かない? 関係者じゃなくても同行一名ならオッケーなんだ』
「でも……」
いきなりそんなこと言われても……。
高城クラウンホテルズといえば、ラグジュアリー、ハイエンド客室単価五万円以上、接客やサービスも超一流と言われていて、芸能人や著名人などが多く利用するような高級ホテルだ。そんなホテルが主催するパーティーに私が行くなんて場違いな気がする。
『うちのホテルの従業員の他にも外部からハイソなお客さんたちが来るはずよ、御曹司はもちろん会社の若社長とかね!』
御曹司……。
若社長……。
『小春、まだ彼氏いないって言ってたじゃない? チャンスよ~』
私とは住む世界の違う人たちが集まるパーティーに、しがない下町の和菓子屋の娘が参加してもいいのだろうか。そのとき。
――木谷さん、じゃあ、彼を紹介したら立ち退きの件は諦めてくれますか?
――へぇ、そう来るか……その話が本当なら、考えよう
立ち退きの件が白紙になるかもしれない、そんな木谷さんとの会話を思い出す。
そうだ! このパーティーで彼氏を見つければいいんだ! 恋人を見つけられなくても彼氏の振りさえしてくれる人さえなんとか現れれば……。
「芽衣、私もそのパーティーに行く!」
なんて安易な、と自分でも思う。そう簡単に相手なんか見つかるわけない。
だけどもう藁にも縋る気持ちで、私は突如として降ってきたチャンスに大きくうなずいた。
『そのパーティーに一緒に行かない? 関係者じゃなくても同行一名ならオッケーなんだ』
「でも……」
いきなりそんなこと言われても……。
高城クラウンホテルズといえば、ラグジュアリー、ハイエンド客室単価五万円以上、接客やサービスも超一流と言われていて、芸能人や著名人などが多く利用するような高級ホテルだ。そんなホテルが主催するパーティーに私が行くなんて場違いな気がする。
『うちのホテルの従業員の他にも外部からハイソなお客さんたちが来るはずよ、御曹司はもちろん会社の若社長とかね!』
御曹司……。
若社長……。
『小春、まだ彼氏いないって言ってたじゃない? チャンスよ~』
私とは住む世界の違う人たちが集まるパーティーに、しがない下町の和菓子屋の娘が参加してもいいのだろうか。そのとき。
――木谷さん、じゃあ、彼を紹介したら立ち退きの件は諦めてくれますか?
――へぇ、そう来るか……その話が本当なら、考えよう
立ち退きの件が白紙になるかもしれない、そんな木谷さんとの会話を思い出す。
そうだ! このパーティーで彼氏を見つければいいんだ! 恋人を見つけられなくても彼氏の振りさえしてくれる人さえなんとか現れれば……。
「芽衣、私もそのパーティーに行く!」
なんて安易な、と自分でも思う。そう簡単に相手なんか見つかるわけない。
だけどもう藁にも縋る気持ちで、私は突如として降ってきたチャンスに大きくうなずいた。



