交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「浅見屋を存続させるのにどう結婚が関係するんですか?」

「そりゃあ、奥さんのご実家だからね、会社の計画を変更してでも死守しなきゃ、なんなら商品の発注数を増やしたっていい」

木谷さんの言う通りにすれば浅見屋は守られる。今まで通りだし注文数も増えれば安泰だ。あとは自分の身を犠牲にできるかどうか。

はぁ、何を考えてるんだろう、そんな好きでもない人と結婚して幸せになれるはずかない。それに一生この人といるなんて考えたくもない。今は愛想良く笑っているけれど、この人は裏の顔がある。冷酷で淡白な非道な顔が。

はぁ、冗談じゃない。

想像するだけでめまいがしてきた。これ以上木谷さんと話していても埒が明かない。

「すみません、帰ります」

「え? 小春ちゃんどうしたの? 全然食事食べてないし、それになんだか顔色が悪いみたいだけど……」

全部あなたのせいよ!

そう叫び出したい衝動を抑えて立ち上がると視界がふらついた。

「おっと、大丈夫? 小春ちゃ……ん?」

テーブル越しから私の身体に添える彼の手が一瞬ピクリとする。立ち上がったのはいいけれど、足に力が入らず私は結局また椅子に座り直してしまう。

「すみません、大丈夫です」

見ると木谷さんの視線が私の胸元にじっと向けられている。彼だったら「無理しないで」なんて言ってキラキラスマイルを向けてきそうなものだけれど。何を見ているのかとその視線を追って私はハッとした。