交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

いつどこで見たか思い出せない。でも知ってる感じだけが頭を揺るがす。

「小春? どうした?」

いつまでも一点を見つめている私に、湊さんが怪訝に顔を覗き込む。

「すみません、ちょっとぼーっとしちゃいました」

あはは、と誤魔化すように笑うと彼も微笑んだ。

「パパ、ママ、見て!」

ふたつ結びを揺らして走る凛は、まるで私たちの愛が形になったように輝いていた。

「こらこら、走ったら危ないだろう?」

普段は落ち着いたトーンの彼が、娘を心配して思わず声をかけるその姿に胸があたたかくなる。

「ふふ、私、またここに来られてよかったです。だって――」

「ん?」

湊さんはしゃがんで娘の小さな肩をやさしく抱き寄せ、私を見上げた。