交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

はぁぁ!? な、ななにを言って――。

ぼんやりピザに向けていた視線を勢いよく跳ねさせ、聞き間違いではないのかと私は何度もパチパチと目を瞬かせた。

「け、っこん……?」

「そうだよ、僕とね。小春ちゃんを幸せにできるのは僕しかいないって思ってる」

木谷さんがいう幸せは私が望んでいるものじゃない。今にもつぶれそうな小さな店だって、祖父母と毎日他愛のない話をしながら仕事をしていくのが楽しかった。それなのに、立ち退きの話で私の幸せをぶち壊しておいて、よくもそんなことが言えたものだ。私はふつふつとしたものを堪えてテーブルの下で拳をギュッと握りしめた。

「私、結婚なんて考えてません」

腹の底から絞り出すような低い声を出して言うけれど、木谷さんはまったく動じることなく笑顔を崩さない。

「うん、いきなり言われても困るのはわかってる。だから今から考えたらいい」

正直言うと二十四になったときにそろそろ将来に繋がるような相手を見つけないと、なんて思ったのは確かだ。結婚を全く考えていないと言えば嘘になる。だけどよりによって木谷さんと結婚なんて……。