交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「はい、私なんだか……また近いうちに来るんじゃないかなって気がします」

今朝の夢はどんな夢だったかまったく覚えていないけれど、なんとなく海辺が背景に見えたような、そんな片鱗が脳裏に残っていた。
もしかして、夢に出てきた海はここかもしれない。

「小春、愛してるよ」

朝の光に包まれながら、湊さんがここをあとにする前にもう一度私を引き寄せ包み込む。
私も彼の背中にそっと腕を回し、彼のぬくもりを感じる。

「さ、行こうか」

ゆっくり抱擁を解く。

あ……。

彼の胸元を見ると私の視線が止まる。

「気づいたか?」

彼は優しく微笑む。

そこには、以前私が預かっていたネクタイピンが静かに光っていた。収まるべくして収まっているという感じだ。

「そのネクタイピン、すごく似合ってます」

「君のこの指輪もね」

彼の胸元に光るネクタイピンと、左手の結婚指輪が同じ朝の光を受けて輝いていた。

まるで二人の未来への約束のように――。