「ある日、浅見屋を訪ねてきた若い男の人が玄関先で落としていったものなんです」
彼の手の中にあるネクタイピンは鈍く温かみのある黄褐色の光沢を放ち、昔も今も変わらず色あせない。
「それ、湊さんのものですよね?」
彼は少しだけ視線を落とし、やがてゆっくりと頷いた。
「やっぱり! よかった。実は、そのネクタイピンを落とした人に〝あしなが王子〟なんて勝手にあだ名をつけて、ずっと憧れていたんです。私を陰で支えてくれている人なんだって」
「え? 陰で支えているって、どうしてわかったんだ?」
「実は、祖父と湊さんが話しているところを見たんです。そのときは湊さんだってわからなかったけど、私のことを気にかけてくれてたのはわかりましたから」
やっと持ち主に返すことができた。私は安堵の笑みを浮かべ少しだけ肩の力が抜けた。
「私、両親を亡くしても湊さんのおかげで大学もちゃんと卒業できましたし。ひもじい思いをせずに済みました。いつかお礼を言いたかったので、ネクタイピンの持ち主が湊さんでよかった」
私が微笑んだ刹那、彼の目が燃えるように熱くなった。
「小春……っ」
彼の手の中にあるネクタイピンは鈍く温かみのある黄褐色の光沢を放ち、昔も今も変わらず色あせない。
「それ、湊さんのものですよね?」
彼は少しだけ視線を落とし、やがてゆっくりと頷いた。
「やっぱり! よかった。実は、そのネクタイピンを落とした人に〝あしなが王子〟なんて勝手にあだ名をつけて、ずっと憧れていたんです。私を陰で支えてくれている人なんだって」
「え? 陰で支えているって、どうしてわかったんだ?」
「実は、祖父と湊さんが話しているところを見たんです。そのときは湊さんだってわからなかったけど、私のことを気にかけてくれてたのはわかりましたから」
やっと持ち主に返すことができた。私は安堵の笑みを浮かべ少しだけ肩の力が抜けた。
「私、両親を亡くしても湊さんのおかげで大学もちゃんと卒業できましたし。ひもじい思いをせずに済みました。いつかお礼を言いたかったので、ネクタイピンの持ち主が湊さんでよかった」
私が微笑んだ刹那、彼の目が燃えるように熱くなった。
「小春……っ」



