交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

何気なく視線を向けて、テーブルの上に飾られている花が真っ赤なガーベラだと気づいた瞬間、胸の奥がきゅっと鳴った。
誕生日に素敵なプレゼントと一緒にいつも贈られてきた真っ赤なガーベラの花束、記憶が重なり目頭に熱を持ち始めた。

「私の学費や生活費を支援してくれたの、湊さんだって祖父から聞きました。誕生日のプレゼントも全部、湊さんからだったんですね」

自分でも呆れるほど、声が震えていた。

「ああ、そうだよ」

ほんのりはにかむように湊さんが小さく笑った。

「この花の花ことば知ってるか?」

「花ことば? いえ」

「〝常に前向き〟〝希望〟そう花屋に教えてもらったんだ。俺がこんなことを言うのもなんだが、両親を亡くした君に少しでも励みになればと……」

真っ赤な花が十本、花瓶の中で静かに咲いている。その鮮やかさが、私の心をそっと染め上げていく。ガーベラの花ことばを知って、胸の奥に小さな光がともるのを感じた。

「でも、今考えたらずいぶんとキザなことしてたよな、それに――」

どういう顔をしたらいいのかわからなかったのか、湊さんはそう呟いて照れを滲ませた笑みを浮かべた。