交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

その声には、どこかいたずらめいた響きが混ざっている。どこに行くとも言わずに彼は私を外に連れ出し、あれよあれよという間に車に乗せた。

車内の密やかな空気。

シートベルトを締める指先がなんだか震える。

「もし眠たかったら寝ててもいい」

エンジンがかかると、世界がふっと変わるように思えた。寝ててもいいなんて言われても、期待や不安が入り混じった心境で落ち着いてなんかいられない。もうすでにドキドキと胸は高鳴っている。

夜の街を抜けて、彼の運転する車はスムーズに滑る。流れる夜景と音楽に包まれながら、私は隣の彼をちらりと見る。湊さんが運転する横顔をこんなまじまじと見たことがなかった。キリッと前を見つめ、大人の男性という雰囲気が伝わってくる。

「あの、どこに行くんですか?」

「秘密」

いたずらっぽく笑いながら、信号の赤で車が止まる。その瞬間、湊さんはチラリと横目で私を見て口元を緩めた。