交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

時刻は二十一時。

真っ暗な部屋にライトスタンドをつけると、間接照明がぼうぅっと白い壁を照らした。後三時間で誕生日が終わる。毎年誰かに祝ってもらったわけじゃない、去年だってひとりだった。だからどうってことない。そう思いたいのに、湊さんという存在と一緒になってからこんなにも一人が寂し強いなんて思わなかった。

このまま一人でここにいてもしょうがない、コンビニに行っておひとり様用ケーキでも買ってこようかな。

そう思って立ち上がろうとしたときだった。

「ただいま」

突然、玄関から湊さんが帰ってきた気配がしてびっくりする。そして少し慌てた様子で彼がリビングに入って来た。

「よかった、まだ間に合う」

「え? 間に合うって……? わっ」

いきなり帰って来たかと思ったら、急に腕を引かれる。

「小春の誕生日だ。まだあと三時間ある」

湊さん、私の誕生日……知ってたんだ。

どうして知っているのかわからないけれど、目を丸くして驚いている私に彼がクスリと微笑む。

「連れていきたい場所があるんだ」