交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

「小春、あと少しなんだ。だから……あと少し、待ってくれ……」

「湊さん?」

あと少しって? なんのこと?

この時間があまりにも静かで穏やかすぎたのか、さっきまで荒々しかったその呼吸も今はまるで波のように穏やかで、眠気を誘うリズムになっていた。

「湊さん?」

そっともう一度声をかけるけれど返事はない。見上げると彼は目を閉じていた。額に少しだけかかった前髪、ゆっくりと上下する胸。
寝ちゃったんだ……。

思わずふふっと笑ってしまう。だけど、湊さんの仕事の大変さを思えば、こうして力が抜けたときにウトウトしてしまうのはわかる。こんなふうに湊さんの安心しきった寝顔を見るのは初めてかもしれない。彼に抱かれたという安心感もあるけれど、無防備な寝顔を見つめているこの瞬間のほうが心が温かくなる。

「湊さん、おやすみなさい」

小さく囁いて私はそっと彼の髪を撫でた。サラリとして癖のない柔らかな髪。そして私はもう一度彼の胸の中に顔を埋めた。眠ってしまった湊さんの腕の中で、私はゆっくりと目を閉じた。