交際0日婚、冷徹ホテル王はかりそめ妻を溺愛で堕とす

薄暗い部屋の中。

ベッドの上で私は彼の腕に静かに包まれていた。湊さんの呼吸がすぐ耳元で穏やかに響いている。落ち着いた、深い息遣い。それだけで私は安心できた。先ほどまで私と湊さんはお互いを求め合っていた。言葉も、肌も、心も、惜しみなく。

そして、その嵐のような熱が去ったあとに残ったのは、思っていたよりも優しくて静かな時間だった。

湊さんは新しくホテルを建設するため全国を奔走している。彼の仕事は応援してあげたい、私は仕事の次でいい。そう自身に言い聞かせていたのに、彼は私のために仕事に都合をつけて帰ってきてくれた。お互いの熱が混ざり合い、気持ちは通じた。けれど、私の両親の死の原因について彼はまだなにかくすぶっているのではないかと穿ってしまう。

「小春? 身体、大丈夫か?」

彼の腕が少し強くなり、引き寄せられる。

身体がほんの少し痛む。けれど、それも悪くない。むしろ、彼に抱かれたという証のように感じられて愛しかった。

「大丈夫です」

私が答えると、彼は笑って髪にキスを落とした。それだけで、胸の奥がじんわりと熱くなった。

『もう後戻りできないぞ』

彼が私を抱く前そう言った。

触れ合ったことで深まった関係。裸のまま、嘘のないまま、お互いを抱きしめ合えるこの愛おしい静けさ。それを知ってしまった私はもう戻れないと思った。今なら、その湊さんの言葉の意味がわかる。