夢を、見ていた。お父さんが生きていた頃の夢だ。

「すごい立派なお家だね」

 私がまだ小学生のとき、わがままを言って父の仕事場を見に行かせてもらったことがある。完成間近の立派な住宅。ここに住む人が羨ましくなるほどだった。

「いろんな人の気持ちが、ここには詰まってるんだ」
「いろんな人って?」
「このお家を建てたいっていうお客さんの思い、それに応えたいっていう、お父さんとか、他にもこのお家を建てるのに関わったすべての人の思いだ」
「ふうん」
「いいか、福。なにかを作る仕事に就くのならーーいや、それ以前に、幸せに生きていきたいなら絶対に必要なことがある」
「なになに? 福も知りたーい!」
「それはねーー」