海の女王は中学生~おしゃべりティアラと海底王国のひみつ~

 一方、赤い巨人はみゆを中に閉じ込めたまま、街の建物を飲み込み続けていた。

 人々は逃げまどい、炎はますます膨張してゆく。

 「これが巨人の杖の力……。では、みゆさんはあの巨人の中にいるのか……?」

 火の巨人の奇怪さに、特殊艇で上空に到達したクレマンもどうしていいかわからない。

 だがそこに、ドニの通信が入った。

 「隊長!大変です!ノエルさんの話では」
 「貸してくれ!私が話す!」

 クレマンが通信を聞いていると、ノエルが代わった。

 「6時間以内に安全キーをティアラに戻さなければ、みゆ様は二度と元の姿に戻れない!!」
 「なに!?安全キーとは、何のことだ!?」
 「ティアラの中にいた、ガラちゃんのことだそうですよ!ほら、隊長の耳をキンキンさせた、あの謎の声です!!」
 「おお、あの猛烈な大声の主か……!?」

 クレマンの問いに、通信に割り込んできたドニが叫んだ。

 「安全キーのガラちゃんがいなくなってから、すでに5時間55分が経過しています。残りあと5分。ガラちゃんを探す時間がありません、隊長!」

 ドニの必死の叫び声に、クレマンは絶句した。

 だがそこに、別の通信が割り込んできた。

 「私がみゆの意識へ降下する」

 通信を聞いていた、クレマン、ドニ、ノエルの3人は驚きに息を飲む。

 成長したアデラールが特殊艇に乗り、クレマンに合流したのだった。