海の女王は中学生~おしゃべりティアラと海底王国のひみつ~

 「隊長、何だか変ですよ、これ……?」
 「どうかしたのか、ドニ?」

 お城の中の治安維持組織の司令部。

 そこでドニは、クレマンに機器操作を習っていた。
 クレマンはドニに呼ばれて、モニター画面をのぞき込む。

 「王都の真ん中に高エネルギー反応だと!?画面を拡大しろ!正面スクリーンに映せ!」
 「了解!」

 ドニはクレマンに教わった通りに、タッチパネルを押した。

 すると部屋の正面の大スクリーンいっぱいに、赤い巨人が映し出されたのだ。

 「なんだ……これは……?」
 「まるで、火の巨人みたいだ……」

 ドニのつぶやきにクレマンは、ハッと気がつく。

 「まさかこれは、杖が呼び出した巨人なのか……?」
 「え?女王様が!?」

 クレマンの言葉に、ドニは驚いて何も言えない。

 その頃、悲しむみゆの全身を、赤い光が炎のように包んでいた。

 冷たい炎は輝きながら街の建物を飲み込む。

 火の巨人はさらに大きく膨張しながら街を進んで行った。

 「女王様に何かあったんです!早く!早くあの巨人を止めないと、街の人たちが危ない!」

 ドニが叫ぶと、クレマンはすぐさま命令した。

 「俺は特殊艇で街に向かう。ドニは司令部で巨人の動きを追うんだ!街の人々も城の兵士を使って避難誘導するんだ。急げ!」
 「了解!」

 クレマンはみゆを救うため、司令部の部屋を飛び出した。