その夜、みゆは寝室でぐっすりと眠っていた。
お城に帰って、「少し休むね」と言ってから、何時間も眠っていた。
そのおかげで、おばあちゃんの家に帰ることも忘れ、ガラちゃんの脱出方法をアベルに聞くことも後回しになってしまった。
「しょうがないなあ、よっぽど峰打ちでくたびれたんだね」
一人納得したガラちゃんは、ノエルにもみゆを起こさないように頼んだ。
「きっと、峰打ちは莫大な体力を消耗する技なのよ」
「さようでございますね。そうでなくとも、真剣勝負は集中力が必要とか。みゆ様には、ごゆっくりお休みいただきましょう」
ガラちゃんとノエルは、「峰打ちって、なんだかすごいね」と感心しながら、みゆを好きなだけ休ませることに決めたのだった。
「それにしても、ガラちゃんはたっぷりお昼寝したから退屈だよ」
あまり眠くないガラちゃんは、ヒマを持て余してブツブツ言っていた。
ベッドの側のサイドテーブルの上に置かれたガラティアラの中から、部屋を見回す。
窓にはカーテンが引かれ、寝室は薄暗い。
ベッドの横にあるランプだけが、弱々しい光を放つだけだった。
「夜はまだまだ明けそうにないね。みゆを起こすのもかわいそうだし。誰か、話し相手はいないかなあ」
ガラちゃんはノエルでもいいから、夜の見回りに来ないかな、と期待を込めて入り口のドアを見つめていた。
すると気のせいか、ドアノブがゆっくりと回ったように見えた。
「うん?ノックもしないで、泥棒?まあいいや、ちょうど退屈してたし。飛んで火に入る夏の虫だね」
ガラちゃんは泥棒が部屋に入って来たら、大声を上げてお城のみんなを呼ぼうと身構える。
ドアノブが回り切り、かちゃんと小さな音がしてドアがゆっくりと開く。
ガラちゃんは小さな鼻の穴から空気を胸いっぱいに吸い込む。
これで大声を出す準備は万全だ。
いつでも来い、と緊張するガラちゃん。
だが泥棒がどんどんベッドに近づくにつれて、ガラちゃんの鼻の穴から空気が抜けていった。
「あれ?ううん?なあんだ、アデラールじゃない!」
「あ、うん。こんばんは。まだ起きてたのかい、ガラちゃん?」
なんと、部屋に入って来たのはアデラールだった。
「もう!ガラちゃんは泥棒だと思ってドキドキしたよ!」
「怖がらせて、ごめん。起こさないように、静かに入って来たつもりだったんだけど」
文句を言うガラちゃんに、アベルことアデラールは小さな声であやまった。
「みゆにお話があるの?起こそうか?」
「いや、いいよ。今日は大変だったから、怖がって眠れないんじゃないかと、様子を見に来ただけだから」
アデラールはそう言いながら、ベッドの側のイスに腰掛けた。
「眠れないどころか、ご覧の通り。大熟睡だよ」
「よかった。安心したよ」
なぜか自慢げに話すガラちゃんに、アデラールはうれしそうに答えた。
「僕のせいで、みゆは無理やりにこの世界につれてこられたから、ずっと気にしていたんだ」
「イソギンチャクのこと?」
「うん。あの頃は調子に乗って、山ほど作ったからなあ。正直、どこにいくつイソギンチャクを置いたか、まったく覚えてないよ」
ため息をつくアデラールに、ガラちゃんは尋ねてみた。
「ねぇ、アデラールはみゆのこと好き?」
「え!な、何を急に言い出すんだよ!?」
アデラールは顔を真っ赤にして叫んでしまった。
「ううん……」
途端にみゆが目を覚ましそうになって、寝返りを打つ。
あわてて両手で自分の口を押さえるアデラール。
「みゆはね、大切な人を救うためにこの世界に来たんだよ、きっと……」
「え……?」
「だから、アデラールが気に病むことはないのよ」
ガラちゃんは優しい声でそう言った。
「その大切な人って誰?」
「大事なことは自分で聞かないとダメ」
アデラールの問いに、ガラちゃんはそう答えると満足げに眠ってしまった。
残されたアベルはランプの灯りの下、みゆの寝顔を見つめた。
「そうだね、また会いに来るよ。みゆ」
アデラールは優しく微笑むとイスから立ち上がり、部屋を出ていった。
翌朝、ガラちゃんはご機嫌だった。
「もうすぐ会いたかった人が会いにくるよ、みゆ」
「へえ?誰が来るの、ガラちゃん?」
「まだ内緒だもん。果報は寝て待てだもん。積もる話をいっぱいしてくれるよ」
みゆそっちのけで、ガラちゃんはアデラールがやって来るのが楽しみで仕方ない。
そこに、ノエルがやって来た。
「クレマンがみゆ様にお会いしたいと、参っております」
「え!隊長さんが!?やった!すごいね、ガラちゃんの予言が当たったよ。すぐに隊長さんに会いに行こう!」
昨夜の出来事を何も知らないみゆは、やってきたクレマン元隊長に大喜びした。
しかしアデラールがやって来ると思っていたガラちゃんは喜ばない。
「違うもん!」
と叫ぶとプリプリ怒って、ふて寝してしまった。
お城に帰って、「少し休むね」と言ってから、何時間も眠っていた。
そのおかげで、おばあちゃんの家に帰ることも忘れ、ガラちゃんの脱出方法をアベルに聞くことも後回しになってしまった。
「しょうがないなあ、よっぽど峰打ちでくたびれたんだね」
一人納得したガラちゃんは、ノエルにもみゆを起こさないように頼んだ。
「きっと、峰打ちは莫大な体力を消耗する技なのよ」
「さようでございますね。そうでなくとも、真剣勝負は集中力が必要とか。みゆ様には、ごゆっくりお休みいただきましょう」
ガラちゃんとノエルは、「峰打ちって、なんだかすごいね」と感心しながら、みゆを好きなだけ休ませることに決めたのだった。
「それにしても、ガラちゃんはたっぷりお昼寝したから退屈だよ」
あまり眠くないガラちゃんは、ヒマを持て余してブツブツ言っていた。
ベッドの側のサイドテーブルの上に置かれたガラティアラの中から、部屋を見回す。
窓にはカーテンが引かれ、寝室は薄暗い。
ベッドの横にあるランプだけが、弱々しい光を放つだけだった。
「夜はまだまだ明けそうにないね。みゆを起こすのもかわいそうだし。誰か、話し相手はいないかなあ」
ガラちゃんはノエルでもいいから、夜の見回りに来ないかな、と期待を込めて入り口のドアを見つめていた。
すると気のせいか、ドアノブがゆっくりと回ったように見えた。
「うん?ノックもしないで、泥棒?まあいいや、ちょうど退屈してたし。飛んで火に入る夏の虫だね」
ガラちゃんは泥棒が部屋に入って来たら、大声を上げてお城のみんなを呼ぼうと身構える。
ドアノブが回り切り、かちゃんと小さな音がしてドアがゆっくりと開く。
ガラちゃんは小さな鼻の穴から空気を胸いっぱいに吸い込む。
これで大声を出す準備は万全だ。
いつでも来い、と緊張するガラちゃん。
だが泥棒がどんどんベッドに近づくにつれて、ガラちゃんの鼻の穴から空気が抜けていった。
「あれ?ううん?なあんだ、アデラールじゃない!」
「あ、うん。こんばんは。まだ起きてたのかい、ガラちゃん?」
なんと、部屋に入って来たのはアデラールだった。
「もう!ガラちゃんは泥棒だと思ってドキドキしたよ!」
「怖がらせて、ごめん。起こさないように、静かに入って来たつもりだったんだけど」
文句を言うガラちゃんに、アベルことアデラールは小さな声であやまった。
「みゆにお話があるの?起こそうか?」
「いや、いいよ。今日は大変だったから、怖がって眠れないんじゃないかと、様子を見に来ただけだから」
アデラールはそう言いながら、ベッドの側のイスに腰掛けた。
「眠れないどころか、ご覧の通り。大熟睡だよ」
「よかった。安心したよ」
なぜか自慢げに話すガラちゃんに、アデラールはうれしそうに答えた。
「僕のせいで、みゆは無理やりにこの世界につれてこられたから、ずっと気にしていたんだ」
「イソギンチャクのこと?」
「うん。あの頃は調子に乗って、山ほど作ったからなあ。正直、どこにいくつイソギンチャクを置いたか、まったく覚えてないよ」
ため息をつくアデラールに、ガラちゃんは尋ねてみた。
「ねぇ、アデラールはみゆのこと好き?」
「え!な、何を急に言い出すんだよ!?」
アデラールは顔を真っ赤にして叫んでしまった。
「ううん……」
途端にみゆが目を覚ましそうになって、寝返りを打つ。
あわてて両手で自分の口を押さえるアデラール。
「みゆはね、大切な人を救うためにこの世界に来たんだよ、きっと……」
「え……?」
「だから、アデラールが気に病むことはないのよ」
ガラちゃんは優しい声でそう言った。
「その大切な人って誰?」
「大事なことは自分で聞かないとダメ」
アデラールの問いに、ガラちゃんはそう答えると満足げに眠ってしまった。
残されたアベルはランプの灯りの下、みゆの寝顔を見つめた。
「そうだね、また会いに来るよ。みゆ」
アデラールは優しく微笑むとイスから立ち上がり、部屋を出ていった。
翌朝、ガラちゃんはご機嫌だった。
「もうすぐ会いたかった人が会いにくるよ、みゆ」
「へえ?誰が来るの、ガラちゃん?」
「まだ内緒だもん。果報は寝て待てだもん。積もる話をいっぱいしてくれるよ」
みゆそっちのけで、ガラちゃんはアデラールがやって来るのが楽しみで仕方ない。
そこに、ノエルがやって来た。
「クレマンがみゆ様にお会いしたいと、参っております」
「え!隊長さんが!?やった!すごいね、ガラちゃんの予言が当たったよ。すぐに隊長さんに会いに行こう!」
昨夜の出来事を何も知らないみゆは、やってきたクレマン元隊長に大喜びした。
しかしアデラールがやって来ると思っていたガラちゃんは喜ばない。
「違うもん!」
と叫ぶとプリプリ怒って、ふて寝してしまった。


