翌朝、みゆはふかふかのベッドの上で目を覚ました。
「ああ、いい気持ち。ぐっすり眠れたぁ」
「ううん……もう起きたの、みゆ?」
ガラちゃんはサイドテーブルの上から、眠たそうな声を出した。
「うん、おはようガラちゃん。今日は一度おばあちゃんちに帰ろうと思って、早起きしたんだ」
「そうだね、昨夜は疲れて眠っちゃったもんね」
大浴場でみゆがアベルの髪を洗った後、アベルは自分の部屋に戻った。
みゆとガラちゃんも寝室に帰り、夜遅くまで2人でおしゃべりしていた。
◆
「みゆもアベルがアデラールだって、もう納得した?」
「うん、ガラちゃん。さっきのお風呂の会話で確信したよ」
お風呂から上がって真っ白なフリル付きの寝間着に着替えて、みゆはベッドに潜り込んだ。
「アベルはイソギンチャクのことも知ってたし、間違いない。アベルはアデラールで、あの浜辺の男の子だったんだね」
じんわりと、みゆの胸の中に喜びが広がっていく。
また、あの男の子に会えたんだ……。
やっと……。
「アベルも私が前の女王とは別人だって、わかってくれてたみたい。なんだか以前より、よそよそしくなくなったみたいだし」
「うん、みゆに髪を洗ってもらえてご機嫌だったね」
ガラちゃんも自分の推理の正しさが証明されて、大満足だった。
「あとはアベル、じゃなかった、アデラールにガラちゃんをティアラから出す方法を聞いて、実行あるのみだよ!!」
「うん!いよいよだね、みゆ!なんだかガラちゃん、ドキドキしてきたよ!」
「私もだよ。ねぇ、ガラちゃんはティアラから出たら、一番最初に何がしたい?」
「うう~ん?そうだなあ」
ガラちゃんはティアラの宝石の中で、腕組みしてうなる。
「そうだ!ガラちゃんは自分の足で、お外を歩いてみたい!!」
「外を?」
「うん!誰かの頭の上に乗るんじゃなくて、自分で地面を歩くの!そしてガラちゃんがみゆをいろんな場所に案内してあげるよ!」
ガラちゃんは大張り切りで、みゆに提案した。
「そうだね!私もガラちゃんといろんな場所を探検したいもの!」
「ガラちゃんが知ってる場所もまだ行ったことがない場所も、みゆと2人で大冒険だね!」
◆
話が盛り上がったみゆとガラちゃんは明け方近くまで、楽しくおしゃべりした。
そして話し疲れてついさっきまで、2人は熟睡していたのだ。
「おそれながら陛下、もうお目覚めでございますか?」
目を覚ましたみゆとガラちゃんが今朝の予定を話していると、部屋の外から侍従のノエルの声がした。
「うん、ノエル。起きたよ」
みゆはベッドの上に体を起こすと、廊下にいるノエルに答えた。
「実は昨日の老人が陛下に謁見を、と参っとおるのですが」
「え?こんなに朝早く?」
みゆの部屋には時計がないので正確な時間はわからない。だがそれでも窓から差し込む光の様子で、夜が明けたばかりだと思った。
「まだ女王陛下はお休みだと断ったのですが」
「来たのはドニのおじいさんだけ?」
「さようでございます」
「元隊長さんに何かあったのかもしれないね。わかった、すぐに謁見の間に行くから用意して」
みゆは素早くベッドから降りると、朝の支度を始めた。
「ごめん、ガラちゃん。アデラールにガラちゃんの脱出方法を聞くのが、少し遅れる」
「平気よ、みゆ。アデラールは女王はみゆだってわかったから、安心してお城にずっといてくれるはずだもん。もし、方法を聞く前に逃げようとしたら、ノエルにふんじばってもらうから」
「もう、ガラちゃんたら。時々とんでもないこと、思いつくのね」
「うん、でもガラちゃんはまだ眠たいから寝てるね」
みゆは苦笑しながらも着替えを済ませると、急いで謁見の間に向かった。
「申し訳ございません、女王様」
昨日の広い部屋に行くと、ドニのおじいさんが1人でしょんぼりと座り込んでいた。
「元隊長さんはどうしたんですか?」
「それが、その……。クレマンはせっかくのお話を断ると申しまして」
「え?どうしてですか?」
驚くみゆに、老人はもじもじと言いにくそうに答えた。
「そ、それが、わしがどんなに話しても、『女王は信用できない』と言うばかりで取り付く島もありません」
「ううん、それはひょっとしたら前の女王に、何かひどい目にあわされたのかもしれませんね」
みゆはうなりながら考えると、玉座から立ち上がった。
「わかりました。そういう事情なら、私が行ってクレマン元隊長を説得してしてみます」
「え?女王様が!?」
老人は驚いて目を剥いた。
「危険です、陛下!昨日も申し上げましたがその男は!」
「うん、わかってるよ。でも、ノエルが私を守ってくれるもの!何の心配もしてないよ」
あわてて止めるノエルに、みゆはニッコリと微笑む。
「じ、女王様……そこまでこのわたくしを信じて……。このノエル、考え違いをしておりました!女王陛下が危険な場所に赴きたいのならば、わたくしがお守りすればよいだけのこと。それを今まで安全第一にお城に留めることばかり考えておりました」
ノエルはみゆに深々と頭を下げた。
「そんなに堅苦しく考えないで。それから、おじいさんは元隊長のお家の案内を頼みますね。さあっ!行こうか!」
「ははッ!」
ノエルとおじいさんは嬉しそうに返事をすると、みゆと一緒にクレマン元隊長の家に向かった。
「ああ、いい気持ち。ぐっすり眠れたぁ」
「ううん……もう起きたの、みゆ?」
ガラちゃんはサイドテーブルの上から、眠たそうな声を出した。
「うん、おはようガラちゃん。今日は一度おばあちゃんちに帰ろうと思って、早起きしたんだ」
「そうだね、昨夜は疲れて眠っちゃったもんね」
大浴場でみゆがアベルの髪を洗った後、アベルは自分の部屋に戻った。
みゆとガラちゃんも寝室に帰り、夜遅くまで2人でおしゃべりしていた。
◆
「みゆもアベルがアデラールだって、もう納得した?」
「うん、ガラちゃん。さっきのお風呂の会話で確信したよ」
お風呂から上がって真っ白なフリル付きの寝間着に着替えて、みゆはベッドに潜り込んだ。
「アベルはイソギンチャクのことも知ってたし、間違いない。アベルはアデラールで、あの浜辺の男の子だったんだね」
じんわりと、みゆの胸の中に喜びが広がっていく。
また、あの男の子に会えたんだ……。
やっと……。
「アベルも私が前の女王とは別人だって、わかってくれてたみたい。なんだか以前より、よそよそしくなくなったみたいだし」
「うん、みゆに髪を洗ってもらえてご機嫌だったね」
ガラちゃんも自分の推理の正しさが証明されて、大満足だった。
「あとはアベル、じゃなかった、アデラールにガラちゃんをティアラから出す方法を聞いて、実行あるのみだよ!!」
「うん!いよいよだね、みゆ!なんだかガラちゃん、ドキドキしてきたよ!」
「私もだよ。ねぇ、ガラちゃんはティアラから出たら、一番最初に何がしたい?」
「うう~ん?そうだなあ」
ガラちゃんはティアラの宝石の中で、腕組みしてうなる。
「そうだ!ガラちゃんは自分の足で、お外を歩いてみたい!!」
「外を?」
「うん!誰かの頭の上に乗るんじゃなくて、自分で地面を歩くの!そしてガラちゃんがみゆをいろんな場所に案内してあげるよ!」
ガラちゃんは大張り切りで、みゆに提案した。
「そうだね!私もガラちゃんといろんな場所を探検したいもの!」
「ガラちゃんが知ってる場所もまだ行ったことがない場所も、みゆと2人で大冒険だね!」
◆
話が盛り上がったみゆとガラちゃんは明け方近くまで、楽しくおしゃべりした。
そして話し疲れてついさっきまで、2人は熟睡していたのだ。
「おそれながら陛下、もうお目覚めでございますか?」
目を覚ましたみゆとガラちゃんが今朝の予定を話していると、部屋の外から侍従のノエルの声がした。
「うん、ノエル。起きたよ」
みゆはベッドの上に体を起こすと、廊下にいるノエルに答えた。
「実は昨日の老人が陛下に謁見を、と参っとおるのですが」
「え?こんなに朝早く?」
みゆの部屋には時計がないので正確な時間はわからない。だがそれでも窓から差し込む光の様子で、夜が明けたばかりだと思った。
「まだ女王陛下はお休みだと断ったのですが」
「来たのはドニのおじいさんだけ?」
「さようでございます」
「元隊長さんに何かあったのかもしれないね。わかった、すぐに謁見の間に行くから用意して」
みゆは素早くベッドから降りると、朝の支度を始めた。
「ごめん、ガラちゃん。アデラールにガラちゃんの脱出方法を聞くのが、少し遅れる」
「平気よ、みゆ。アデラールは女王はみゆだってわかったから、安心してお城にずっといてくれるはずだもん。もし、方法を聞く前に逃げようとしたら、ノエルにふんじばってもらうから」
「もう、ガラちゃんたら。時々とんでもないこと、思いつくのね」
「うん、でもガラちゃんはまだ眠たいから寝てるね」
みゆは苦笑しながらも着替えを済ませると、急いで謁見の間に向かった。
「申し訳ございません、女王様」
昨日の広い部屋に行くと、ドニのおじいさんが1人でしょんぼりと座り込んでいた。
「元隊長さんはどうしたんですか?」
「それが、その……。クレマンはせっかくのお話を断ると申しまして」
「え?どうしてですか?」
驚くみゆに、老人はもじもじと言いにくそうに答えた。
「そ、それが、わしがどんなに話しても、『女王は信用できない』と言うばかりで取り付く島もありません」
「ううん、それはひょっとしたら前の女王に、何かひどい目にあわされたのかもしれませんね」
みゆはうなりながら考えると、玉座から立ち上がった。
「わかりました。そういう事情なら、私が行ってクレマン元隊長を説得してしてみます」
「え?女王様が!?」
老人は驚いて目を剥いた。
「危険です、陛下!昨日も申し上げましたがその男は!」
「うん、わかってるよ。でも、ノエルが私を守ってくれるもの!何の心配もしてないよ」
あわてて止めるノエルに、みゆはニッコリと微笑む。
「じ、女王様……そこまでこのわたくしを信じて……。このノエル、考え違いをしておりました!女王陛下が危険な場所に赴きたいのならば、わたくしがお守りすればよいだけのこと。それを今まで安全第一にお城に留めることばかり考えておりました」
ノエルはみゆに深々と頭を下げた。
「そんなに堅苦しく考えないで。それから、おじいさんは元隊長のお家の案内を頼みますね。さあっ!行こうか!」
「ははッ!」
ノエルとおじいさんは嬉しそうに返事をすると、みゆと一緒にクレマン元隊長の家に向かった。


