水を含んだ土のみずみずしいにおい。水と太陽の光を得て幸せそうなにおい。(生きるもののにおい)
彼も私も制服姿。黒い軍手をはめている。汗だくで。(ロマンスのにおいなんてちっともしない)
「そ、それは、恋?」
「わかりません。僕も恋をしたことがないから」
彼が音もなくすっと立った。ゆっくりと私の前に立つ。いつのまにこんなに成長したんだ。見上げるほどになった。
(まぶしい)
「あなたは教室ではつまらなそうですが、園芸部では楽しそうだ」
「!!」
見ていてくれたんだ。私のことを。ちゃんと。
「ていねいにメイクをしたあなたも美しいですが、今、ナチュラルメイクがはげかけているあなたはもっと美しい」
「それ、褒め言葉じゃないよ」
「いいえ、褒め言葉です。今、あなたはとても美しい。楽しそうです。元気そうです」
「フフッ」
思わず笑ってしまった。照れ隠しのような本音のような。
(だって嬉しかったから)
「僕と踊りませんか。推しの曲で」
彼も私も制服姿。黒い軍手をはめている。汗だくで。(ロマンスのにおいなんてちっともしない)
「そ、それは、恋?」
「わかりません。僕も恋をしたことがないから」
彼が音もなくすっと立った。ゆっくりと私の前に立つ。いつのまにこんなに成長したんだ。見上げるほどになった。
(まぶしい)
「あなたは教室ではつまらなそうですが、園芸部では楽しそうだ」
「!!」
見ていてくれたんだ。私のことを。ちゃんと。
「ていねいにメイクをしたあなたも美しいですが、今、ナチュラルメイクがはげかけているあなたはもっと美しい」
「それ、褒め言葉じゃないよ」
「いいえ、褒め言葉です。今、あなたはとても美しい。楽しそうです。元気そうです」
「フフッ」
思わず笑ってしまった。照れ隠しのような本音のような。
(だって嬉しかったから)
「僕と踊りませんか。推しの曲で」



