(はわわ……ミシュリーヌお姉様、天使すぎるわ)
クロエは美女などと言われるが、ミシュリーヌの方が数百倍可愛らしいではないか。
みんなの目は節穴なのだ。
今までは節穴のままでいいと思っていた。
クロエだけでそれがわかっていればいいと思っていたのに……。
けれど今はミシュリーヌの誤解を解くことが優先だろう。
「あの……ミシュリーヌお姉様」
「外は冷えるわ。屋敷の中に入りましょう」
クロエはミシュリーヌと共に屋敷の中に入る。
今からすぐに説明しようと口を開く。
「ミシュリーヌお姉様、勘違いしていたら嫌だから説明させてほしいの」
「勘違い……? 何のことかしら」
「レダー公爵のことですわ。わたくしはレダー公爵のことを……っ」
「クロエ、これ以上は何も言わなくても大丈夫よ」
「違うの! ミシュリーヌお姉様、聞いて……!」
そう言いかけた途端、ミシュリーヌはクロエの肩に手を置いた。
そしてわかっていると言いたげに頷いているではないか。
クロエは嫌な予感を覚えた。



