推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜


「うん、熱は下がりましたかね」

「……っ!」


ミシュリーヌは安心したように微笑んでいる。
次第に頬が赤くなっていくのが自分でもわかった。
信じられないほどに気分が晴れやかで驚いてしまう。
こんな感覚になったことは今まであっただろうか。

するとミシュリーヌは心配なのか「レダー公爵、大丈夫ですか?」と、問いかけてくるではないか。
それに距離が近いことでオレリアンの方が戸惑ってしまう。

すると、勢いよく扉が開いた。


「──ミシュリーヌお姉様!」


部屋に飛び込むように入ってきたのはクロエだった。
オレリアンなどまるで視界に入ってはいない。
ミシュリーヌの方まで一直線だ。
オレリアンとミシュリーヌの間に無理やり入り込んできたかと思いきや、ミシュリーヌを体全体で覆うように抱きしめてしまった。
そしてオレリアンに向けられる凄まじい殺気。
まるでミシュリーヌに触るなと言いたげである。

(威嚇されている。ミシュリーヌ嬢には近づくなということか?)