推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

オレリアンは着替えることもシューマノン子爵に許可を取ることすら忘れて、気づいた時は馬で走り出した。

彼女の笑顔を曇らすのが、自分であってはならない。
それだけは理解できたからだ。
しかしもう体は限界を迎えていたようだ。
案内された場所は花や植物がたくさんあり光あふれる空間だった。
ぼーっとしていると自然と瞼が落ちていく。

ミシュリーヌとクロエがやってきた時にここで自分が連絡もなしにシューマノン子爵邸を訪れたことに気づく。
頭が回らずに気遣いもできない自分が許せない。
一週間も何の連絡もなく手紙を無視してミシュリーヌをがっかりさせることの方が嫌だったのだ。

(俺は何をやってるんだ……)

ミシュリーヌと婚約してからというもの、何もかもが自分らしくない。
気にしなくていいというミシュリーヌに、オレリアンはすぐに買い物に行こうと提案する。

彼女のオシカツの手伝いをすると決めたため、すぐにミシュリーヌに予定を聞いた。

しかし、そこで感じる殺気。
ミシュリーヌの隣にいる妹のクロエに睨まれているではないか。何が何だかわからずに彼女を見つめ返す。

それからほどなくしてクロエは侍女たちに口元を押さえて連れて行かれてしまった。

(なんだったんだ……?)