(オレリアンside)
オレリアンが目を覚ますと、そこは暗闇だった。
「──ッ!」
焦って体を起こすが、ふわりと漂う花の香りにここが現実なのだとわかる。
それと同時に一度も悪夢を見ずに眠れたことに驚いていた。
(信じられない……こんなふうに眠れたのは初めてだ)
昔から長い時間、眠れたことはなかった。
それは闇魔法のことが深く関わっているのだろうと本能的に理解していた。
泥に沈んでいくように、体が飲み込まれていく悪夢に魘されることがある。
だからこそ無理をしてでも仕事を詰め込むのかもしれない。
そしてギリギリの状態で倒れるようにして眠る。
それが常だったが、騎士団の仕事で公爵邸を開けている時に届いたミシュリーヌの手紙。
それも一週間前のことだ。
ミシュリーヌが婚約者で連絡が来た場合は、優先的に回してほしいといういこともうまく伝達していなかったようだ。
中にはミシュリーヌがオシカツのためにほしいものが書かれていた。
それはドレスでも宝石でもなく糸だった。
一緒にお店に行ってほしいという願いを叶えてあげたい。
ミシュリーヌと共に婚約者としていられる時間は限られているからこそだ。
オレリアンが目を覚ますと、そこは暗闇だった。
「──ッ!」
焦って体を起こすが、ふわりと漂う花の香りにここが現実なのだとわかる。
それと同時に一度も悪夢を見ずに眠れたことに驚いていた。
(信じられない……こんなふうに眠れたのは初めてだ)
昔から長い時間、眠れたことはなかった。
それは闇魔法のことが深く関わっているのだろうと本能的に理解していた。
泥に沈んでいくように、体が飲み込まれていく悪夢に魘されることがある。
だからこそ無理をしてでも仕事を詰め込むのかもしれない。
そしてギリギリの状態で倒れるようにして眠る。
それが常だったが、騎士団の仕事で公爵邸を開けている時に届いたミシュリーヌの手紙。
それも一週間前のことだ。
ミシュリーヌが婚約者で連絡が来た場合は、優先的に回してほしいといういこともうまく伝達していなかったようだ。
中にはミシュリーヌがオシカツのためにほしいものが書かれていた。
それはドレスでも宝石でもなく糸だった。
一緒にお店に行ってほしいという願いを叶えてあげたい。
ミシュリーヌと共に婚約者としていられる時間は限られているからこそだ。



