推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

そわそわして落ち着かない様子のオレリアンを見て、ミシュリーヌはいいことを思いついたと手を合わせる。
いつも常備していると花瓶やトレーがあるのだが、ミシュリーヌはトレーを手に取った。

目を閉じて花を思い浮かべると、そこに大量のラベンダーが現れる。


「これがミシュリーヌ嬢の魔法……」

「ラベンダーの香りはリラックス効果があるんですよ」


ミシュリーヌはサイドテーブルにラベンダーが乗ったトレイを置いた。
そしてそばにあった椅子に腰掛ける。
部屋の中、優しく漂うラベンダーの香り。
手作りのアロマキャンドルを持ってきてもらいカーテンを閉める。
暗くなった部屋の中で、キャンドルの淡い光が揺蕩う。

(よし、これで準備ができた)

オレリアンも安眠できるだろうと振り返ると、もう瞼を閉じて寝息を立てているではないか。
自分の判断が間違っていなかったと悟り、満足感でいっぱいになる。

(やっぱりレダー公爵は疲れていたのね。よかった……)