のぼせた侍女たちがなんとか代わる代わる世話をして、最後はベテラン侍女に任せて入浴を終えた。
ミシュリーヌはふと、レダー公爵家の侍女たちに会ってみたくなった。
彼女たちもオレリアンの世話ができているのか気になったからだ。
入浴を終えたレダー公爵の固く強張っていた表情は柔らかい。
いつもの堅苦しい雰囲気はなくなり、ぽわぽわした雰囲気でこちらにやってくるではないか。
周囲にキラキラとしたエフェクトが見えて目を擦る。
体が温まったのか、それとも疲れが限界になってしまったのだろうか。
オレリアンは眠たげな目でミシュリーヌを見ていた。
こんな状態で買い物に行っていたら倒れてしまっていたに違いない。
自分の判断が間違っていなかったと頷きつつ、ミシュリーヌはオレリアンに横になるように促していく。
しかしもうすぐ枕に頭がつくというところで、彼はハッとして上半身を起こしてしまう。
まるで流されないと言わんばかりに声を上げた。
「ミシュリーヌ嬢、やはり……」
「レダー公爵、今は何も気にせずに休みましょう」
ミシュリーヌはオレリアンの肩を無理やり押してベッドに寝かせた。
ここまで不敬だとか失礼だとか、そんなことはミシュリーヌの頭にはない。
ミシュリーヌはただただオレリアンに健康になってほしい一心だ。
幼い頃からクロエがよく体調を崩していたが、ミシュリーヌはつきっきりで看病していた。
家族が体調が崩れていると心配で眠れなくなりずっとそばにいたこともある。
命の大切さを誰よりも知っているため、できる限りのことはやりたいと思うのかもしれない。
「……そうだわ!」



