「お待たせして申し訳ありませんでした」
「……連絡もなしにすまない」
そう言いつつオレリアンは眉間を押さえて体を起こす。
「わたしは大丈夫です。あの、レダー公爵はもしかして……」
「……?」
そう言いかけて口をつぐむ。
また余計なことを言わないようにするためだ。
オレリアンは不思議そうにしていたが、すぐにポケットから手紙を取り出す。
「返事が遅くなってすまなかった」
「それは……」
オレリアンの手には一週間前に彼宛てに書いた手紙があった。
怒りか苛立ちからここに来たのだと思い込んでいたため拍子抜けしてしまう。
「公務で公爵邸を空けていたんだ」
「……!」
「今度からはミシュリーヌ嬢の手紙も届けてもらうように頼んだ。二度とこのようなことが起こらないようにする」
「い、いえ……」
「すまない。ミシュリーヌ嬢」
公務中はレダー公爵邸になかなか帰れないことはない。
大切な手紙は途中で届けて確認してこともあるそうだ。
だけどミシュリーヌが婚約者になったばっかりだ。
そのようなミスがあっても仕方ないだろう。



