「生産コストは比較的安くはできるけど、作り上げる時間はかかるのがなんとも。糸もこだわった色味だから尚更ね」
「そのくらいの価値があると思うわ。自分だけのオリジナルを作れる……つまり完全受注生産の一点ものにすれば価格は強気でいいと思うの。それに広げたらうちわよりずっと目に入りやすい。飽きたらタオルとして使えるしね!」
「なるほどね。受注生産の一点もの……それはまたご令嬢たちが好きそうな言葉だね」
こうしてミシュリーヌがデザインやアイディアを出して、ジョゼフが生産やその他諸々すべてのことなどを担って商品開発を進めている。
ここにいつもクロエの言葉も加わるのだが、オシカツ商会で販売しているものはすべてミシュリーヌの考えたデザインだと思われていた。
そこは前世の知識に大感謝である。
オシカツ商会の華やかで映える商品は、推し活以外にも誕生日プレゼントにするのにもおすすめである。
むしろそちらの需要の方が高まりつつあるのかもしれない。
オーダーはドレスや靴、装飾品以外でも自分のお気に入りの色をチョイスして作ることができる。
平民でも手が届く手頃な値段が人気を押し上げているが、貴族たちには基本的に一から作り上げるオーダー制を取り入れていた。
今は王都に一店舗、店があるのだが、いつも長蛇の列ができるほどに人気。
そのため貴族の令嬢たちはミシュリーヌの元に直接依頼にくるケースも多い。
ミシュリーヌの手元には色や装飾など希望を聞くアンケートのような紙を用意していき、書き込んだ後にジョゼフに渡す。
作り上げて屋敷まで届けて料金をいただくのだ。
また気に入らない場合は持ち帰り、手直しを行うが事前のヒアリングのおかげかそういったことはほとんどない。



