推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

やはりジョゼフ相手に一筋縄ではいかないようだ。
ミシュリーヌは頬を膨らませて不満をアピールするが、さすが幼馴染といったところか。
無視して話を続けていく。


「クロエから話は聞いたけどまさか本当にレダー公爵と婚約するなんて思わなかったよ。でも、どうしてミシュリーヌを……?」

「それだけは誰もわからないのよ」


ジョゼフも両親や兄と同じ反応である。
しかしミシュリーヌが一番そう思っていた。


「ミシュリーヌがあのレダー公爵と……今までも信じられないな。国内外でもあんなに人気がある騎士なんてそうそういないよね。同性からも人気があるんだよ?」


やはりオレリアンに対してはジョゼフのような反応をするのが当然なのだろうか。
同性にも人気があるというのは初耳である。


「モアメッド様だって同性に人気だもの! レダー公爵に負けていないわっ」

「はいはい」


確かにオレリアンはかっこいいとは思う。

(同性のジョゼフがここまで言うなんて……やっぱりレダー公爵は人気があるのね)

けれどミシュリーヌにとっては、推しであるモアメッドの方がずっとずっと輝いて見えた。


「レダー公爵からの婚約の申し込みだなんて。今から大変になりそうだ。レダー公爵のそばにいたら推し変したくなるんじゃない?」

「…………わたしは推し一筋だもん」

「だろうね」