推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

その言葉を聞いて、オレリアンは頭が真っ白になった。
平然を装っていたものの、どんどん血の気が引いていく。
ミシュリーヌには想い人がいたのだろう。
どうしてその可能性を考えなかったのか、自分が恥ずかしくてたまらなくなった。

(なんてことをしてしまったんだ……)

オシカツとは好きな人に関わることが目的なのだろう。
オレリアンにできることは、ミシュリーヌの恋を応援することだけ。
一年後に彼女が笑ってくれたらいい。
もちろん婚約を解消した後も、ミシュリーヌが望む未来を用意するつもりだった。
責任を取りオレリアンができることをするべきだと思った。

けれど予想に反してミシュリーヌは大喜び。
ミシュリーヌはそれほど好き人と結ばれたいのだろう。

(俺が彼女の邪魔をしてしまったんだ)

けれどミシュリーヌが笑顔を見られたことが嬉しいと思うのはおかしいだろうか。

(それでもいい。ミシュリーヌが幸せならば……)

この気持ちの名前はわからない。
わからないけれど、ミシュリーヌが一年だけでも婚約者でいてくれることが嬉しいと思ってしまう。
こんな自分はおかしいのだろうか。

しかしオレリアンはまだこの時、知らなかったのだ。
彼女の『オシカツ』の恐ろしさと熱量を……。


(オレリアンside end)