推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

隣国での公務中もオレリアンは体調を崩しかけていた。
心が不安定になると眠れなくなる。
なんとか公務をやり遂げたが、オレリアンは眠れもせずに苦しい日々

なんとか公務を終えて、国に帰ると婚約は成立していた。

久しぶりに会うミシュリーヌはあの頃よりも、ずっとずっと綺麗になり大人びていた。
オレリアンにとって彼女だけは美しくどこにいても輝いて見えた。
周りの景色が寂れて見えても、ミシュリーヌだけは色鮮やかだ。

しかしミシュリーヌは浮かない表情をしていた。
その瞬間、こうなるのは当たり前だと思うのと同時に昔の記憶が蘇る。
〝否定される〟
その恐怖がオレリアンの脳内を支配する。


『この婚約は間違いだった』


気づいた時にはそう言っていた。


『シューマノン子爵にも君にも、本当に申し訳ないことをしたと思っている』

『……え?』

『一年後に婚約を解釈してくれればいい。後の縁談は保証しよう』


口下手な自分にはこう伝えるのが精一杯だった。
ミシュリーヌには婚約の解消を望んでいるのか、あっさりと『わかりました!』と承諾していたのだ。
ショックを受けなかったわけではない。


『わたくしの推し活を邪魔しないこと……それだけは絶対に守ってくださいませ』


推し活が何か説明してもらったもののよくわからないが、ミシュリーヌの笑顔を見れるのはいいのだろう。
彼女には大きな迷惑をかけてしまう。オレリアンには了承するしか道はなかったのだが……。


『わたしには好きな人がいます。その方を全力で応援する活動がしたいのです……!』