推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

まだミシュリーヌが幼い頃、五年ほど前だろうか。
第二騎士団の公開練習に必ずイエローかオレンジのドレスを着ていた。
見たことのないピンク色の髪はこの国でも珍しい魔法を持っている証だろう。
周りの令嬢たちに比べてまだまだ幼いことも目を引く要因だった。
いつもよくわからない持ち物を持って現れるミシュリーヌを気づいたら目で追っていた。
次第に彼女の妹、同じくらいの青年と人数が増えていく。

最初は何を持っているかわからなかった。他の令嬢も怪訝な顔をして、ミシュリーヌを見ていた。
次に彼女を見かけた時も同じだった。
キラキラと太陽に照らされた花のように輝いていて、何かを楽しんでいるミシュリーヌを自然と目で追ってしまうようになる。

自分に持っていないものを持っているからかもしれない。
時が経つにつれて、ミシュリーヌのような格好や持ち物をした令嬢たちが増えていく。
次第にミシュリーヌを中心に笑顔が広がっていった。
第二騎士団の公開練習はとても楽しげで、騎士たちも生き生きしているように見えた。

シューマノン子爵の長女で花の魔法を使うと知って彼女らしいと、思わず笑みが漏れたのを今でもよく覚えている。

それから何年経っても自然とミシュリーヌを目で追うようになった。
気になるというよりは、彼女のことがもっと知りたいと思ったのかもしれない。
誰よりも第二騎士団の練習に早く現れては一番遅くに帰っていく。
何をしているのか気になり、オレリアンは残ることにした。

ミシュリーヌはなんとゴミを集め、掃除を始めたのだ。