『候補はマリアン嬢か? それともお前に釣り合う唯一の令嬢といわれているクロエ嬢か?』
『…………』
オレリアンはどちらの令嬢にも何も思ってはいなかった。
むしろマリアンに関しては、あまり評判がよくないことは知っていた。
公開練習の後に必ず親しげに話しかけてはくるが、積極的な態度や甘ったるい香り、媚びるような声はどうも好きにはなれない。
クロエも確かに容姿は整っているとは思うが、何かモヤモヤした感情が湧き上がる。
(これは……同族嫌悪だろうか)
なぜかクロエには近づいてはいけないという感覚がある。
するとアントニオは久しぶりに飲んだ酒に飲まれてしまい、顔が真っ赤になっていた。
いつのまにか彼の隣には空いているワインボトルが二本もある。
それでも並々と注がれるワイン。
三本目のワインも半分なくなり、さすがに飲み過ぎだと止めようとするものの、あっさりと遮られてしまう。
『飲み過ぎですよ……!』
『これをあと半分空けたら終わりにするさ』
その言葉を聞いて、彼が止まる気がないのだと悟る。
アントニオのためだと、オレリアンはワインボトルを奪い、自分のグラスに注いで次々とワインを飲んでいく。
『おー! オレリアン、いい飲みっぷりだな』
『これで飲むものはなくなりますよ。いい加減にしてください』
『ははっ、そうだな! もっと飲め飲めっ』
はっきりと覚えているのはここまでだった。
一時間後にはすっかり酔いが回り……。
『…………』
オレリアンはどちらの令嬢にも何も思ってはいなかった。
むしろマリアンに関しては、あまり評判がよくないことは知っていた。
公開練習の後に必ず親しげに話しかけてはくるが、積極的な態度や甘ったるい香り、媚びるような声はどうも好きにはなれない。
クロエも確かに容姿は整っているとは思うが、何かモヤモヤした感情が湧き上がる。
(これは……同族嫌悪だろうか)
なぜかクロエには近づいてはいけないという感覚がある。
するとアントニオは久しぶりに飲んだ酒に飲まれてしまい、顔が真っ赤になっていた。
いつのまにか彼の隣には空いているワインボトルが二本もある。
それでも並々と注がれるワイン。
三本目のワインも半分なくなり、さすがに飲み過ぎだと止めようとするものの、あっさりと遮られてしまう。
『飲み過ぎですよ……!』
『これをあと半分空けたら終わりにするさ』
その言葉を聞いて、彼が止まる気がないのだと悟る。
アントニオのためだと、オレリアンはワインボトルを奪い、自分のグラスに注いで次々とワインを飲んでいく。
『おー! オレリアン、いい飲みっぷりだな』
『これで飲むものはなくなりますよ。いい加減にしてください』
『ははっ、そうだな! もっと飲め飲めっ』
はっきりと覚えているのはここまでだった。
一時間後にはすっかり酔いが回り……。



