(こうなると思ったわ。マリアン様、どうすると思う?)

(ミシュリーヌを潰せとか言い出すに決まっているわよ)

(そうよね……水魔法を使わないだけよかったわ。絶対に騒ぎになるわ。そうなったら大変だもの)


アイコンタクトで会話しながら嫌な予感だけはひしひしとしていた。
マリアンは今までずっとクロエの美しさに嫉妬心を剥き出しにしている。
クロエも幼い頃は暗くて目立たないようにしていたのをサラとエマも見たことがある。
ミシュリーヌをクロエを今のマリアンのように睨みつけていた。
しかし一時を堺に雰囲気がガラリと変わった。

クロエは自分の意見をはっきりと言うようになり、その美貌を隠さなくなった。
何より極度のシスコンとなり、ミシュリーヌのことしかまったく見えていなくなったのだ。
つまり度が過ぎるほどのシスコンになり、令息たちにまったく興味がないことを見た令嬢たちは安心してクロエと親しくなったのだ。
クロエは口を開けばミシュリーヌの話題を出していた。
『ミシュリーヌお姉様は神様からの贈り物ですわ』
『わたくしよりミシュリーヌお姉様の方が美しいもの』
嫌味かと思いきや、彼女はいたって真面目なようだ。
演技ではなく本当にそう思っているのだろう。

そんなクロエはミシュリーヌの横で、マリアンとサラとエマに敵意を剥き出しにしていた。
彼女の視線は人が射殺せそうでだったし、もう少しでマリアンに掴みかかっていたのではないだろうか。