推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

そんなミシュリーヌが十二歳の時だ。
友人の令嬢に第二騎士団の公開練習に連れていかれたのだが、ディーと瓜二つと言っても過言でもないモアメッドに出会った。
ミシュリーヌは金色のふわふわとした髪、可愛らしい笑顔、オレンジ色の瞳。
ケラケラと笑顔を絶やさないところもディーそのものだ。
ミシュリーヌはモアメッドに釘付けになっていた。

それこそジョゼフに「モアメッド副団長は競争率高いよ~」と、言われたが、ミシュリーヌはそれどころではなかった。
そして家名がディーラーだと聞いたミシュリーヌはさらに拍車がかかる。

(こ、これは運命の出会いというやつでは……!?)

前世で推していたVチューバーの名前もディー。
モアメッドの家名もディーラーで、どこか親近感が湧く。
これを運命とは言わずに何というのか。
その時はまだ副団長ではなかったが、彼はあっという間に副団長に登り詰めた。

ミシュリーヌはこうしてこの世界でずっと夢見ていた推し活を始めたのだ。
一応、モアメッドにも許可をとり、迷惑にならない程度に推し活をしていた。

令嬢たちは騎士団の令息たちを見て狙いを定め、パーティーなどで声をかけて近づくのがお決まりのパターン。
肩書きがあるほどに結婚も遅くなるが、競争率も高くなり射止めるのが大変なのだそう。

(明日もいい日になりますように……。レダー公爵の体調は大丈夫かしら)

ミシュリーヌはベッドに潜り込み、気まずそうに視線を逸らすオレリアンの姿を思い出しながら眠りについた。