推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜

ミシュリーヌも第二騎士団副団長、モアメッド・ディーラーという侯爵家の令息を推している。
彼にはまだ婚約者はいないため、どんな令嬢が婚約者となるか楽しみにしていた。
二人で仲睦まじい様子で寄り添う姿なんて見た日には涙が溢れ出るだろう。

(モアメッド様が幸せになるまでは見届けたいもの……!)

推しの幸せは自分の幸せ。ミシュリーヌの信念はどんどんと周りに伝染していい空気を作り出していた。

けれどクロエの言うことも一理ある。
オレリアンとの婚約の件が社交界に広がれば、マリアンはミシュリーヌを目の敵にするに違いない。

けれど一年で婚約は解消されるとはクロエにも家族にも言えないことがもどかしい。

(何も考えずにレダー公爵と婚約してしまったけど……ちゃんとクロエのことも考えていれば)

こうなると自分の選択が悔やまれる。
けれどもう婚約してしまった以上、ミシュリーヌにはどうしようもできないではないか。

(クロエ、ごめんね! 一年間だけ推し活を楽しませていただきます。推し活のスポンサーになってもらう代わりに、わたしもレダー公爵の婚約者として精一杯がんばらないと!)

目指すはギブ&テイク。
もらうだけでは申し訳ないため、そこはしっかりと婚約者として努めるつもりだ。
互いに利益がある素敵な一年にしてみせる。

(それからクロエには大丈夫だとアピールしつつ、しっかりと繋げていかないと!)