推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜


(マリアン様は推し活どころか、レダー公爵に想いを寄せる令嬢は絶対に許さなかったものね……)

盛り上がる第二騎士団とは違い、第一騎士団の訓練場は張り詰めた空気で静まり返っていた。
マリアンよりも身分が低い令嬢たちは、彼女に見つからないように静かに見守るしかないそうだ。
声を上げるようならマリアンヌからの水魔法の鉄槌がくだり、ずぶ濡れになってしまうという。

第二騎士団とは違い、平民は入れないというのだから驚きだ。
そのため第一騎士団の令嬢たちは第二騎士団に推し替えすることもあると聞いた。

もちろん第一騎士団のファンは元々、第二騎士団よりも多い。
けれど今は同じくらいになっている。
何より楽しそうだと思ってくれているようだ。

第一騎士団に所属しているのが魔法の力が強いということなので、自然と公爵から侯爵家の令息が集まることが多い。
つまり王族の血を色濃く引いている身分が高く家格の高い令息が集まりやすい。
第二騎士団が伯爵から子爵、第三騎士団が子爵家から男爵家という風に自然と分けられている。
訓練所は途中から分かれているため、実際に水をかけられているところは見たことはないのだが、ずぶ濡れで泣きながら歩いてくる令嬢たちは度々見かけるため、そういうとなのだろう。

一方、第二騎士団は平和である。
和気藹々としており推し活を楽しんでいた。
どんなに推していても、婚約者がいる令息を奪ってはやいけない。
推しと恋愛感情は混同せずに、清く正しく推し活を楽しむ。
婚約者がいない令息には大丈夫という暗黙のルールがあり、それがあるからこそ第二騎士団の推し活は平和である。